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『エフェクチュアル・シフト』輪読会のご報告

栗木契(著)、千倉書房、2024年

 現代経営学研究所では、神戸大学大学院経営学研究科教員による輪読会をZoomによるオンラインで不定期開催しております。
 11月下旬から年末年始をはさんで全7回、木曜日の夜に栗木契教授による『エフェクチュアル・シフト』輪読会を開催しました。
 この輪読会は、参加者の方は毎回該当章を読了して、事前に提示されたディスカッションテーマについて考えをまとめてご参加いただきました。当日は栗木教授による該当章のワンポイント解説の後、事前に提示されたテーマによるグループや全体でのディスカッション、質疑応答などの構成で実施されました。
 担当いただいた栗木教授に所感を寄稿いただきました。


輪読会を終えて 

栗木 契 

 拙著『エフェクチュアル・シフト』の輪読会を開催させていただきました。すでにRIAMの輪読会などに複数回参加いただいている方、初めて輪読会に参加される方など、24名の方にご参加いただきました。
 全7回を通じての共通テーマは「不確実性に企業家的機会を見いだす行動に、私たちはいかに関わっていくことができるか」です。教科書的なマーケティングの枠を超えて、イノベーティブな行動を進めるには、どのような発想の転換が必要となるかを論じ合いました。
 書籍からの学びを、書かれている知識の吸収だけで終わらせてしまっては、もったいない。他者との対話によって広がり、深まっていく学びを大切にしたい。このように考えながら、輪読会の企画と運営を行いました。
 アンケートに寄せられた2つのコメントを紹介します。
 「当方が従前繰り返してきた『個人で図書を読んで個人の解釈で図書の意図を理解する』作業とは異なり、その先に複数の人とのこの認識に対する意見交換があり、さらには著者自身または第一人者からの説明やアドバイスをいただいて広く深く図書を楽しむことができる。これはすごい機会だと講義の度に感じました。」
 「将来は常に不確実な中で、いかに変化に迅速に対応していくか。実際のケースやディスカッションを通して深く学ぶことができた。今後は学んだことを仕事や日常生活の中で生かせるようにしていきたいと思います。」
 最後に、輪読会を終了した後に起きたうれしい再会を報告します。2月8日に早稲田大学で開催された「エフェクチュエーション・カンファレンス2025」の私の講演後に、輪読会メンバー数人が声をかけてくれました。うれしいサプライズでした。皆で誘い合って、カンファレンスに参加してくれていたのです。輪読会は終わっても、学びと交流は続いていることを目にすることができ、明るい気持ちになりました。


 栗木先生が所感で紹介してくださったコメント以外にも、「ディスカッションテーマについてそれぞれの切り口で意見を聴くことができ勉強になった」「『「書籍には書けないこぼれ話」は、著者が講師だからこそ聞くことができて、この輪読会の大きな魅力でした」などたくさんのコメントを寄せていただきました。ご参加いただいた皆さまには、アンケートにもご協力いただき、この場を借りてお礼申し上げます。
 後半の回は時間内に終わらず、時間を延長して熱心な意見交換が続いたようです。参加者の皆さまにとってのよき学びの場、交流の場となったことは、事務局にとってもうれしいことです。
 不定期にはなりますが、今後も輪読会を開催していく予定です。関心のある回がございましたら、ご参加検討いただけますと幸いです。