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『POSITIVE DEVIANCE』輪読会のご報告
現代経営学研究所では、神戸大学大学院経営学研究科教員による輪読会をZoomによるオンラインで不定期開催しております。
原田勉教授による「POSITIVE DEVIANCE」輪読会は、6月下旬より毎週火曜日の夜、全8回にわたり開催されました。昨年度の輪読会と同様に少人数制で実施したこともあり、毎回ディスカッションでは活発な意見のやりとりがあり、時間を延長して議論を重ねたと原田教授から伺っています。
所感を含め実際どのような雰囲気で実施されたのか、原田教授に寄稿いただきました。
輪読会を終えて
原田 勉
今回の輪読会では、『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)』を課題図書とし、13名の参加者で8回かけて毎回1章ずつ読んでいきました。 この本は、ポジティブデビアンスという学習アプローチについて体系的にまとめたものであり、2021年に私自身が翻訳して出版されたものです。
参加者の多くは本学MBAの修了生でしたが、数名はMBAとは関係なく、純粋に課題図書に興味を持ち参加されました。全体を通して非常によい雰囲気のなかで学習を進めることができたと感じています。
初回は、私がポジティブデビアンスの概要を説明し、ディスカッションを行いました。第二回目以降は、毎回2名の担当者が自由にファシリテーションを行い、ポジティブデビアンスについての学びを深めていきました。担当者によってスタイルは異なりましたが、概ね、担当者が最初の10分ほどで当該章の概要を解説し、その後、ディスカッションテーマを二つほど用意し、各々について20分ほどグループディスカッションして、最後に全体ディスカッションをするというパターンでした。午後7時半から開始し、午後9時で一旦終了し、その後、残ったメンバーで9時半まで質疑応答やディスカッションを続けていました。参加者の大半は最後まで残り、毎回、熱心に議論することができました。
学部のゼミなどでは、発表者以外は傍観者でディスカッションに参加することもなく、教員と発表者以外が発言することはあまりない、ということが多いように思います。しかし、この輪読会では、参加者一人ひとりが積極的にグループディスカッションや全体ディスカッションに参加し、非常に質の高い議論を展開し、ポジティブデビアンスに対する理解を深めることができたと思います。私自身、全く想定していなかった質問を投げかけられたり、毎回、担当者の発表やディスカッションから学ぶことが多々あり、非常に刺激に満ちた輪読会となりました。
考えてみれば、ほとんど面識のないメンバーが毎週集まり、熱く語り合うことができるというのは不思議なご縁であり、多様なバックグラウンドの方々からいろんな話を聞くことができるとても貴重な機会でした。8回で終わるのは名残惜しく、できればあと数回は実施したかったというのが本音です。また近い将来、このような機会が持てればと思っています。
参加者の皆さんには、貴重な学びの場をともにつくりあげていくことができ、感謝しています。ありがとうございました。

課題図書:
POSITIVE DEVIANCE-学習する組織に進化する問題解決アプローチ
リチャード・パスカル 、 ジェリー・スターニン 、 モニーク・スターニン (著)、 原田 勉 (翻訳)、東洋経済新報社、2021年
参加者の声(アンケートより抜粋)
・個人的に非常に良かったと思う点は全く違うバックグラウンドの方々と意見交流できることと、所々の原田先生の適切なコメント(無駄なくポイントが抑えられたご指摘)だと思います。
・各自の読み解きを持ち寄ることで多角的かつ深層に迫る理解に到達できますので、輪読会は非常に勉強になります。ビジネスの第一線で活躍されている方々と実践に根ざした意見を交換できるのもとてもありがたいです。
・輪読会として本を読むだけでなく、回ごとにファシリテーション担当が決まって皆でディスカッションするスタイルがとても新鮮でよかったです。
・サーバントリーダーの在り方、サーバントでありながら反転質問を使ってファシリテートしていくという手法、答えは身近にあるという視点がおもしろかったです。
ご参加いただいた皆さまには、アンケートにもご協力いただき、この場を借りてお礼申し上げます。
不定期にはなりますが、今後も輪読会を開催していく予定です。企画が固まりましたらご案内いたしますので、ご参加検討いただけますと幸いです。
