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加護野先生お別れの会のご報告

 神戸大学名誉教授の加護野忠男先生が、2024年12月28日にご逝去されました。神戸大学大学院経営学研究科では、加護野先生とご縁のあった方々にお集まりいただき、先生のご功績を偲ぼうと、6月29日(日)に神戸ポートピアホテル 大輪田にてお別れの会を開催しました。当研究所も設立以来、加護野先生には多大なご尽力を賜ってまいりましたので、ささやかながらお別れの会の運営をお手伝いさせていただきました。

 お別れの会には、加護野先生とご縁のあった各界から約400名の皆さまにご参列いただきました。

 まず、実行委員長の三矢先生より開会挨拶と加護野先生のご略歴の紹介後、以下7名の方から弔辞を賜りました。

  • 國部克彦先生(神戸大学経営学研究科長 教授)
  • 伊丹敬之先生(一橋大学 名誉教授)
  • 石井淳蔵先生(神戸大学 名誉教授)
  • 大坪清氏(公益財団法人関西生産性本部 会長/一般社団法人凌霜会 前理事長)
  • 中内仁氏(株式会社ポートピアホテル 代表取締役)
  • 山田幸三先生(上智大学 名誉教授/大妻女子大学社会情報学部 教授)
  • 吉村典久先生(和歌山大学 名誉教授/関西学院大学経営戦略研究科 教授)

 弔辞では、加護野先生とのエピソードなども交え、それぞれが先生へ感謝の意や決意を述べられました。

 國部先生は、「神戸大学経営学研究科を経営学の研究教育拠点とすること、そのために進化し続けることが、私たちに加護野先生が残してくださった教えであったと受け止めています。さらに加護野先生のあたたかいお人柄と精神を経営学研究科の組織文化として永く受け継いでいきたいと思います。」と述べられました。

 伊丹先生は、共著の『ゼミナール経営学入門』の新装版が3日前に届いたばかりで、累計34万部を超えたと報告され、「次の改訂は一緒にやろう」と遺影に語りかけられました。

 石井先生は、神戸大学1年生の語学の授業で出会い60年来の付き合いがあり、「加護野さんには、ずっと目標を与えられてきたように思う。この上ない友人であるとともに、人生の先達でもあった。日本型経営を考えることは自分自身を問い直すことでもある。最後の宿題として取り組んでいきたい」と述べられた。

 大坪氏は、加護野先生の高校・大学の先輩にあたり、関西生産性本部では、加護野先生に研修のコーディネートや各種委員として活躍いただいたことに感謝の意を述べられた。「後輩にこのような挨拶をすることが人生の無常である」と悼み、「日本企業の成長と経済の発展、国民の幸せのために邁進してまいります」と、最後に決意を述べられた。

 中内氏の神戸ポートピアホテルは、今回のお別れの会の会場として手厚いサポートをくださった。20年ほど前から神戸ポートピアホテルで開催されている加護野先生主催の「若手経営者のための経営講座」に参加されていた。この勉強会は現在「加護野塾」として引き継がれ開催されている。「一見、非合理に見えることでも自分たちの価値観に従って愚直に取り組むこと、それが成功につながるという先生の教え、加護野先生の深い愛情に応えられるよう、これからもがんばっていきます」と述べられた。

 山田先生は、「研究者同志のつながりを活かし、大学の枠を超えた調査研究を積極的に企画され、その成果をいち早く世に問うてこられてきました。門下生や若手研究者を思いやるあたたかさと飾らないユーモアがあり、心に響くアドバイスは笑顔とともに深く心に刻まれている」と加護野先生の研究姿勢を紹介された。

 吉村先生からは、「最大の学びは『問うことの重要性』、特に世の中の常識、当たり前とされていることに対して、あえて問うことの重要性であった。やわらかい口調でユーモアを交えながら徹底的に問い続けるのが加護野先生の流儀だった」と語られた。

 弔辞の後に加護野先生最終講義の映像が一部上映されました。その後、ご遺族の代表として、加護野先生の奥様である加護野葉子様よりご挨拶いただきました。

 年末年始の家族揃っての楽しい予定が詰まっている時期に突然のお別れになってしまったこと。25年前、脳出血で倒れてからも、「これからは、おまけの人生や」と、あるがままをモットーに常にポジティブにいらっしゃったこと。愛してやまない神戸大学経営学研究科での研究に向き合い、経営学研究科のさらなる発展をいつも願っていらっしゃったことなどをお話しいただき、お別れ会の参列やご寄付に対しての感謝の意を述べられました。

ご遺族挨拶の様子

 その後、参列者が順に献花して、加護野先生とのお別れを惜しみました。

 会場後方には、加護野先生ゆかりの品々が展示されました。歓談スペースも設けられ、展示物を見ながら、加護野先生の功績や思い出話などあちらこちらでお話しされている姿が見られました。

数々の著書やゆかりの品々

在りし日の先生のお写真などのポスター展示

 参列いただいた方々には、加護野先生と深く関わりのあった株式会社ファミリアが作成したハンカチと経営学研究科がウェブサイトで募集した加護野先生への思い出やご家族からのメッセージ、加護野先生の業績などをまとめた冊子が配られた。このハンカチは、ファミリアの岡崎忠彦社長が原画をデザインされたとのことで、ご遺族からご参列、ご賛同に対してのお礼のメッセージも添えられていた。

参列された皆さまに配布されたハンカチと冊子

 このお別れの会は、賛同いただいた皆さまからのご寄付により開催されました。たくさんの方にお別れの会に参列いただいたこと、また、皆さまより多大なご寄付をいただいたことに、心より御礼申し上げます。

 加護野先生は、2004年に現代経営学研究学会を特定非営利活動法人現代経営学研究所(RIAM)に改組する際にご尽力くださり、現在の当研究所の礎を築いてくださいました。教育研究活動の普及のため、シンポジウム、研究会等を企画・実施する傍ら、会報『ビジネス・インサイト』のご執筆・編集をするなど多大なご尽力をいただきました。

 加護野先生を偲びつつ、今後も経営学のさらなる発展のためにまい進していく所存です。